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美容ジャーナリスト齋藤薫の“引き寄せ”コスメ
まさに入魂! ファウンダー、イノベーターの魂を注がれた製品は、成功必須の法則!
オーガニック&ナチュラルコスメの市場は、創業時にドラマを持つブランドがとりわけ多い。
創業者自らが心身の不調に苦しんだ経験をもとに、同じ悩みを持つ人を救いたいと言う
使命感に衝き動かされるように創業とともに作った逸品。
また誰かが待っているから一刻も早く届けなければと開発者が立ち上がった逸品。
ドラマある製品はみな革命的なものとなる。
だから必ず大ヒットとなり、ロングセラーとなり、そのブランドの象徴となっていく。
それはもう見事なまでにそうした法則が出来上がっているのだ。
まさに流汗悟道! 額に汗して、誰かの為にと自ら取り組んだ入魂の製品は、人を感動させる絶対の力を宿すのだ。
これらの名品たちのように。
ローズヒップに強くこだわり
注力した結果のヒットオイル
ローズヒップオイルと言えばトリロジー。そう言われるまでになったのも、トリロジーが何をおいてもこのローズヒップにこだわり、開発に注力してきた渾身の作だから。あまたある植物エキスの中でも、エイジングケア効果*1が際立って高いローズヒップの潜在能力を、ピュアにパワフルに引き出し、肌にハリを与える効果をもたらすことで世界中でヒット。オイル美容のパイオニアだからできた処方も見事で、必須脂肪酸を含む上に、肌に極めて近いPH値に調整され、肌に弾力を与えるのはもちろん、ダメージを受けた肌*2に対して、皮膚を健やかに整えるスピードも目覚ましいものとなったのだ。
*1年齢に応じたうるおいケア *2乾燥や環境の変化による肌トラブル
ローズヒップオイル
20mL/¥3,980+税 ★
100年のロングセラーは奇跡的!
アクティブな毎日をサポートする
伝説的オイル
創業100年という老舗にしてパイオニア、ヴェレダが1924年に発表して以来の奇跡的なロングセラーは、“植物オイルによるマッサージ”の原型となった一本。自然科学や哲学なども下敷きにしたヴェレダは、植物を人間に置換え、頭は根、体は茎、花は足と捉える発想から、茎が長いのに根が深いアルニカはアクティブなライフスタイルを支える植物として、90年以上にわたりヴェレダで使用されている。入浴後、体が温まった時のマッサージにピッタリで、ハーブの香りも鮮やかだ。
アルニカマッサージオイル
50mL/¥1,600+税 ★
100mL/¥2,600+税 ★
強くて美しい肌を守るブランドに、
パワフルなのに優しい洗顔料あり
今や日本のオーガニックブランドを代表する存在となったアムリターラ。厳格なまでに自らを律する10の約束、これをクリアする“フィトケミカル”によって、優しさを担保したまま自然界の力を最大限に引き出し、人を美しくすることに徹したブランドには熱心なファンも多い。その誕生に深く関わっているのがベストセラーであるクレンジングクリーム。肌を痛める合成界面活性剤を使わずに大豆レシチンで乳化した処方は、まさにブランドを象徴するよう。ラベンダーの香りにうっとり、心地よい洗顔を続けるうちに、肌バリアが整い、強くて美しい肌を守る名洗顔!
リラックスアロマクレンジングクリーム ラベンダー
150g/¥4,200+税 ★
日々のリズムをサポートする
女性の見方インナーケア茶
植物療法士の第一人者、森田敦子氏監修、パリでも有数のハーブ薬局エルボリステリアの製品を日本人用ににアレンジしたハーブ専門ブランドだ。体はもちろん、心をいたわってくれるハーブティーの数々は、悩める人をどれだけ優しく支えてきてくれたことか。特にこのメリッサは、美しさや女性らしさをサポートしてくれるので、ぜひ日々の習慣にしてほしい。別名のレモンバームの名の通りすっきりした甘やかな美味しさ、爽やかな香りが、なくてはならなくなった時、身も心も健やかさに満たされているはず。
ティザンヌ メリッサ
50g/¥1,900+税 ★
ハーブを使った手作りクリームが
ブランド誕生のきっかけ?
ドイツ最古の美しい修道院に拠点を置くマルティナは、創設者が3歳の時に顔に負い長年消えることのなかった深い傷跡が、16歳で出会った手作り軟膏により緩和されたことが1つのきっかけとなって、人を癒すという信念を持って創設された。ラノリンにハーブを混ぜたクリームをベースに作られたのが、このサルビアクリームなのだ。天然ラノリンと植物エキスが、刺激から守ってくれる。その上で分泌される皮脂と補う油分という肌の潤いバランスを整えるという優れた働きをもたらすのだ。カサつくのにべたつく、複雑な肌にこそお勧めしたい、魅力ある逸品だ。
サルビアクリーム
50mL/¥4,000+税 ★
“世界で愛される石けん”に宿る
30年をかけた秘伝の美肌効果
世界中で愛されるソープと言ったら、やはりガミラ・シークレット。植物の知識を母親から学び、じつに30年以上をかけて独学で作り上げた石けんは評判が評判を呼び、
汚れを落とすことのみならず、秘伝のレシピによる不思議な作用で肌のバランスを整えるスキンケア効果から、やがて“魔法の石けん”とまで謳われるようになる。今回ご紹介する「ワイルドローズ」は、華やかな香りに加え、ダマスクローズの保湿成分が際立った美肌仕上げを叶えてくれる。泡立てずに直接肌の上を滑らせてマッサージ。泡を作るなら1~2分の泡パック。様々な使い方ができるのも魅力だ。
ワイルドローズ
115g/¥3,300+税 ★
スキンケアのこだわり×メイクのこだわり
だから「美容液でメイクする」新発想
スキンケア効果のあるファンデーションはもう珍しくは無いけれど、むしろ「美容液でメイクする」レベルの美容液ファンデーションが、スキンケア効果をさらに進化させた。美容液バームにミネラルパウダーを溶かし込んだ新発想は、科学者である創業者と、ディレクションするメイクアップアーティスト、両者のこだわりを1つにした。なんと肌を健やかに保つプロポリスエキスを配合。擬似皮脂膜が欠点を見事にカバーし、まるで生まれつき美しかったような、つるんとした肌質の美肌感をもたらす技は圧巻。しっとりリッチなクリームタイプなのに、決してべとつかない、むしろ爽やかな肌触りも進化の証。
ミネラルクリーミーファンデーション SPF20PA++
(リフィル)10g/¥5,500+税 ★
(ケース) ¥1,000+税 ★
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流汗悟道………
いよいよ本気でエシカルを
行動に移さなければと
思う時、
知っておくべき1人の女性の物語がある。
「クリーンビューティ」という言葉をさまざまに目にするようになった。これまでオーガニックやナチュラルなものに関心のなかった人ですら、自分が選ぶべきものはそれなのだと気づいたかもしれない。ただ本来それは、「化粧品たるもの、人や動物、環境に害を及ぼしてはいけない」という提言に近いもの。もちろんオーガニックコスメやナチュラルコスメが終始訴えてきたことであり、サスティナブルやフェアトレードという開発姿勢も含めた、“エシカル=正しいこと”を分かりやすく訴えているものに他ならない。つまり大きくは、人を美しくするものこそ、森羅万象全てを美しく保つものでなければいけないという、哲学にも等しいこと。生き方そのものから正さなければいけないような価値観の提言なのだ。
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ただその考え方を、100%妥協なく、具体的な形で実践するのは並大抵のことではない。「クリーンビューティ」がトレンドになってもならなくても、ずっと昔からそれを実践し続けてきたブランドに、今こんなふうに世の中がその価値を認めるようになったからこそ敬意を表したいと言う気持ちにもなってくる。
今からちょうど100年前、1921年創業のヴェレダというブランドがある。その歴史の長さだけでも群を抜くが、それ以上に、今に続くクリーンビューティをまさに哲学として確立し、100年前に既に形にしていた驚くべきブランドと言っていい。
ヴェレダと言うと、創設者としてのルドルフ・シュタイナー博士が有名だが、この人は「人智学」を説き、「人体にはすばらしい自己治癒力が備わっていて、それを助けるのが地球の恵みである天然原料だ」と訴え、人間と自然との神秘的でもある関わりを見事に説明して見せた人。でもその影に、創業者の一人に名を連ねる女性がいた。イタ・ヴェーグマン医師。セラピーとしての体操やマッサージを学び、26歳で医学校入学。女性の病気を専門に学び、人智学を具体的な手段として、植物エキス配合の化粧品にまで発展させた人なのだ。この時代に女性が医師になる信念の強さに加え、資金不足に陥ると、どこからか資金を調達してきたという実行力も、またヴェレダ設立の一方で、精神障害をもつ子供たちのための療養施設を作ったと言う正義感まで、いかに並外れた情熱とエネルギーの持ち主だったか。今改めて、こうした女性の存在に思いを馳せると、なんだかちょっと胸が熱くなる。
「流汗悟道」という言葉がある。人間は汗を流して初めて、物事の本質を知る。知識は知識でしかなく、真実はその知識を実践し体験しなければ感じ取ることができないという仏教的な教えを宿す言葉。じつはコスメキッチンが2021年の年間テーマとして掲げた言葉でもある。コロナ禍の問題も含めて、今まさに地球環境の変化がさまざまに人間を脅かしている現実を目の当たりにすると、いよいよ本気でエシカルを行動に移さなければと一人一人が思いを新たにしているはず。その時、是非ともこうした女性が100年前にいたことを胸に刻んで欲しい。彼女の想像を絶する努力や諦めない心、実際に事を起こすパワー、そういうものに心を動かされて、自分も何かしたいと思う、それがエシカルの第一歩となるはずだから。その大切なことに、今こそ気づいて欲しいのである。