以前、これまでに出会ったモデルさんの中で、圧倒的な透明感を放つ“肌美人”の方に美容取材をしたときのこと。私が何気なく「スキンケアって面倒だよね~」と話すと「えっ??」と、きょとんとされたことがありました。当時の私はまったくの美容オンチで、メイクをしたまま寝落ちなんてしょっちゅう。スキンケアも手持ちの化粧水をパシャパシャ、あればクリームをパパっと塗る程度で、それはまるで流れ作業のような感覚でした。毎日同じアイテムを、同じ工程で使うこともどこか退屈だなと感じていました。それが“ただのルーティン”から“日々の楽しみ”に変わったのは、オーガニックコスメと出会い、その心地良さや、肌だけでなく心までもがほぐされるような体験をしてからです。(こちらのエピソードは「COSME KiTCHEN JOURNAL vol.1」に掲載しています)
肌がキレイになると心にも良い変化をもたらしてくれます。何だかウキウキして、お出かけしたくなったり、誰かに会いたくなったり。“楽しい”は連鎖して、気持ちも上向きになります。大切なのは直接手で温もりを感じながら、肌と、そして自分自身と向き合うこと。そうすると例えば“乾燥しているな”とか、“ハリ感がなくなってきたな”とか、自分の肌状態や、日々の微妙なゆらぎがよく分かるようになってきます。その日のコンディションを知れば、どのアイテムを使って、どう対処すればいいのかも分かってくる。毎日のスキンケアに定番はありません。今日はどんなニュアンスを浴びたいか? 肌・身体が求めるものに耳を傾け「意識を自分に向ける=自分を知ること」がキレイの近道なのだと思います。
美容の仕事に関わるようになって約15年。いつの間にか“オーガニックコスメ沼”にどっぷりハマってしまった私が、スキンケアの中でも特に大切にしているのが、朝・晩のクレンジングの時間です。朝は「さぁ、今日もがんばろう」と頭をクリアにし良いスタートを切る時間。これから始まる一日の流れに気持ち良く乗れるよう促します。一方、夜は「今日もお疲れさま」と労わりつつ、仕事の心配事やモヤモヤとした気持ちを明日へ持ちこさないためにオフする時間。心身ともにゆるゆるとほぐしてリラックスムードへと導きます。職業柄、オンとオフの境目が曖昧な部分が多いのですが、スキンケアという“切り替えスイッチ”を持っておくことで、気持ちにもメリハリがうまれます。昨日よりも今日、今日よりも明日。なるべくご機嫌な私でいるためのセルフコントロール法のひとつでもあります。
もし毎日のケアを面倒に感じている方がいたら、お気に入りを見つけることから始めてみるのはいかがでしょうか。知識豊富なコスメキッチンのスタッフさんにオススメを聞いたり、SNSで口コミを調べてみたり。パケ買いや香りなど、インスピレーションで決めるのもアリだと思います。自分がトキメク、“推し”がいれば生き生きとした毎日につながるはずです。「これでいいか」ではなく、「これが好き!」で選ぶこと。好きなものに触れているときの充足感や高揚感はきっと効果にも影響してくると思うし、何より「これでいいか」という気持ちは肌にも失礼ですよね。大事にされているという感覚はきっと肌にも伝わっているはずです。
ひと際長く感じられた夏もようやく終わり、いよいよ秋本番。連日の猛暑続きで蓄積した疲れは早めにケアしておきましょう。穏やかに過ごせる今の時期こそ、ビューティギアをONにして肌のセルフケア、アイテムの見直しを。肌のお手入れをするときだけは頭の中から余計なコト・モノは取りのぞいて、じっくりと、ゆっくりとご褒美の時間に。落ち込むこともあるし、心配事は尽きないけれど、きっと大丈夫。私たちのそんな気持ちを支え、そっと伴走してくれるオーガニックコスメが、“またここから始めよう”という気持ちにさせてくれるのです。