Kaoru Saito’s Column

FULLMOON

2024年6月 山羊座の満月🌕

たった2つの挨拶だけで、
幸せになる方法

●朝1番の挨拶は自分のためのもの?

挨拶が大切……なんて、今さら主張することではないけれど、でも一体なぜそんなに大切なのか、改めてここで考えてみた。

あなたは、朝の「おはよう」を、明るくクリアな声で、ちゃんと相手に聞こえるように言えているだろうか。口の中でモゴモゴと、ただの惰性で口にしていたりはしないだろうか。そういう挨拶が常套化していて、知らず知らず、人間関係が滞っているオフィスって、実は少なくないのではないのか。

だから改めて言いたいのは、「おはよう」だけはクリアな声で美しく。それは、一日の自分の心の向きを決める一言で、決してただの挨拶ではないからなのだ。もちろん周囲への挨拶に他ならないが、じつは自分のためにする重要な一言であるということ、忘れてはならないのだ。

なぜなら、朝1番に発する声が自分にとっても心地よい、機嫌の良さそうなものだと、自分の中のポジティブなスイッチがオンになり、なんだか1日中機嫌よく過ごせるが、第一声が不機嫌そうなものだと、自分の中のネガティブなスイッチが入り、なんとなくだが1日を不機嫌なまま過ごさざるを得なくなってくるから。つまり、その日その日、最初の挨拶が自分のあり方をコントロールしてしまうのだ。自分自身にどんな声を聞かせるか? それで自分の生き方が決定してしまうということ。


●人は毎朝、第一印象を更新している

いやそれ以前に、どんな挨拶をするかで好感度が変わってくるのは、言うまでもないこと。朝の機嫌は、その人の人格イメージを決めてしまうとも言われ、朝から元気で感じの良い人は一様に愛される。逆に朝から不機嫌オーラを放っている人は、多かれ少なかれ人を遠ざけてしまう。
言い換えれば、人間、毎日が第一印象。毎朝の挨拶が、その人の印象を毎日更新していると言ってもいい。ちなみに朝、日によって機嫌が良かったり、機嫌が悪かったりする人は、文字通りのお天気屋と言われ、あるいはいつも安定的に不機嫌な人よりも扱いづらい危険人物と言うふうに思われがちなのだ。それだけで傲慢な人と思われてしまうから。そういう意味で朝は、気まぐれな挨拶も意識して避けたいもの。

●別れの挨拶に、付け加えるべき一言とは?

そしてもう一つ、その人の人格印象を塗り替えてしまうのが、別れの挨拶。これも機嫌良く感じ良く、「さよなら」や「またね」や「お疲れ様」が言えた方が良いのはあまりにも当然のこと。
人と人が別れる瞬間の表情って、実はいつまでもその残像が相手の脳裏に残っているほど、印象深いもの。例えば食事をした後、その店のスタッフが外まで見送りに来て、姿が見えなくなるまで繰り返しを挨拶しているような店には、人間もう一度行きたいと思うわけで、そうしたメカニズムを熟知している店は、エレベーターで客を見送り、さらに階段で1階まで移動してエレベーターから降りてきた客を2度目の出迎え、再び見送るという技を駆使したりするほど。
でも、オフィスや仕事関係、友人との日常的な別れの挨拶で、そうした濃厚で印象深い別れ方をするって可能なのだろうか。恋人同士ならまだしも表現方法があるけれど、一般的な別れでの大げさな挨拶は、芝居がかって見えてしまうだけで逆効果。

だから日常的な別れの挨拶に心を込めたいのならば、こうしてほしい。「またね」にも「お疲れ様」にも、相手の名前を付け加えるのだ。「〇〇ちゃん、またね」「〇〇さん、お疲れ様! 」たったそれだけで挨拶に思いがこもる。別れの挨拶は、相手の心に余韻を残すべきもの。お互いの関係性の中で、自分の存在を刻みつけるものと考えてもいい。だから、名前なのである。
人は自分の名前を呼ばれると、ほんの一瞬でも魂に触れられたように感じるもの。いい意味でドキッとする。だからいつまでも心地よい余韻として、名前を呼んでくれた相手の声が残るのである。
あくまでさり気なく、相手を驚かせないように、ふわりと相手の名前を呼んだ上で、さようなら。「気をつけて」を加えると、もっと温かい余韻となるはず。

こんなふうに、1日のうちのたった2つの挨拶だけで人はもっと素敵になれること、そして自分自身が幸せになれること、覚えておきたい。

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Kaoru Saito

齋藤薫

美容ジャーナリスト
/エッセイスト

齋藤薫

美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。最新刊は初めての男モノ『されど、男は愛おしい』(講談社)。また『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など多数。