Kaoru Saito’s Column

FULLMOON

2023年9月 牡羊座の満月🌕

「自分の容姿に一番自信がない」のは
日本人?

●半分以上の人が「自信がない」と訴える日本

日本人は自分に自信がない……なんとなくそう言われてきたけれど、実際に政府が行った意識調査では、案の定主要先進国の中で、「1番自分に自信がない」のは、私たち日本人という結果が出た。
それも欧米など多くの国で8割以上の人が「自分に自信がある」と答えているのに、日本で「自信がある」と答える人は5割にも満たないという結果に終わっている。
日本人は自己肯定感が低いと言われるゆえん。 だからこの結果に対して書かれた記事は、大方が、自信のない日本人に対して否定的な論調になっている。確かに日本人だけが自信がないと言う結果は、何か複雑な思いさせられる。想像は付いていたけれども、これで良いのだろうかと。

一方、ある企業が行った「自分の容姿に自信があるかどうか?」。実はこういう意識調査でも、日本女性は先進国で1番自信がないと言う結果が出ているのだ。
美容大国、あるいはコスメフリーク大国とも言える日本において、そんな事はないだろうと一瞬目を疑う。自分にちゃんと手間をかけている人が、他国より少ないとは思えないからだ。
けれども同時に、それこそが日本人なのだとも言える。充分に自分に手間をかけているのに、それでも自信満々にはならないこと、あと少し努力するところが、なんとも日本人らしい、そうは言えないだろうか。


●むしろ少し自信がない方が、
結果うまくいく?

もちろんそういうデータがあるわけではなく、あくまで推測に他ならないけれど、ひょっとするとこのコラムを読んでくれている人の多くは、「自分に自信がある」に即決でイエスとは答えないのではないかと思う。ちゃんと自信があったとしても、一瞬躊躇するのだろう。また考えたあげくに、やっぱり少しだけ自信がないという方にマルをつけるのかもしれない。例え、匿名のアンケートだったとしても。

なぜそう思ったのか? 私個人としては、こういう意識調査において、自信がないと言える人の方が、むしろ心が穏やかで、実はうまく生きられるのではないかと思うからなのだ。

どういうことかと言えば、自信はそもそも無さすぎてもいけないが、有りすぎてもいけない。そして、物事に当たる時に、自信満々よりは、少しだけ自信がない方が良い意味での緊張感が生まれ、結果としてうまくいったりするもの。
と言うより、いつどんな時も自信がある方が、ちょっとだけ危険。時と場合によるけれど、のべつまくなし自信があるよりは、いつも少しだけ自信が不足していて、だからちゃんと準備をして出かける方が、良い結果を生むはずなのだ。


●自信のなさを補って、
準備して出かける時、人は1番美しい

何より、自信が顔に出てしまうと傲慢な人に見られて損。おどおどと自信なさげに見えるのは問題だけど、実は自信のなさを補って、準備を整えて出かける時のはつらつとした感じが、人を1番美しく見せると言えるから。

だから自信なんか最初からなくたって良いのである。むしろコトに当たる時に自信のなさを埋めることができる位、練習して工夫して準備をすれば、それがベストなのだから。
容姿に対しても同じ。根拠なく自信満々よりは、少しだけ自信がない方が、謙虚に準備をして自分を磨くことになるから、自信満々よりも人を素敵に見せる。少しだけ足りない自信を埋める、そこに美しさが生まれるのだ。

よく言われるのは、「一流の人ほど自信がない」ということ。一流の人ほど、キャリアを積むほどに自信を失っていくと言われるのだ。
それも、取り組むものの難しさに改めて気づくからだろうけれども、それこそが謙虚に真摯にモノゴトに取り組む姿勢に他ならない。人を最も輝かせるのは、そういう人がまるで新人のようにモノゴトに一生懸命に取り組む姿。
言うまでもなくそういう人には、とても自然で静かな、人にも心地よくうつる自信が心の底にあるはずで、その上で物事に当たるときに準備をする、だから素晴らしいのだ。

そういう意味でも、自信はなくて良い。毎日毎日準備して、毎朝良い自信を持っていけば、それでいいのである。


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Kaoru Saito

齋藤薫

美容ジャーナリスト
/エッセイスト

齋藤薫

美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。最新刊は初めての男モノ『されど、男は愛おしい』(講談社)。また『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など多数。