●思い出してほしいのは、
子供の頃の一年に長さ
6月、もう1年の半分が終わってしまったの?そう気づいてゾッとする頃かもしれない。もちろん年末にも思うことだけれども、12月だと、もはやその1年をやり直すことができないけれど、6月ならばまだ全然間に合うから、あえて言うのだ。時間が矢のように過ぎていってしまうのは、一体なぜなのか?
いやその一方で、え、まだ6月?まだ半分しか経っていないの?そう思う人もいるわけで、その違いって一体何なのだろう?と。
ここで思い出して欲しいのが、子供の頃の時間の感覚。1年が恐ろしく長かったはずだ。振り返れば、1年が今の5年分ぐらいに感じられていたかもしれないほど。なぜそれほど長かったのか?
それはズバリ、何をするのも“生まれて初めての経験”だったから。子供にとっては見るもの聞くもの全てが新鮮、やること全てが新鮮。経験値が低いって、モノを知らないって、ある意味素晴らしいのだ。
例えば、こんなふうに感じた事はないだろうか。知らないところに行く時、行きの道のりはものすごく長く感じるのに、帰りはアッという間。半分位の時間しかかかっていないように感じてしまうこと。知らないことや知らないモノ、知らない場所には、人間、倍以上の時間をかけてゆっくりと知るようにできているのだ。
だから、子供の1年は、毎日が知らないところに行く往路ようなもの。一体これからどんなことが起こるのだろうと、毎日ワクワクしていたからこそ、毎日毎日ぎっしりと実が詰まっていたのである。1年365日、1日も無駄な日などなかったはずなのだ。
だからこそ、1年も長かった。信じられないほど。
でも、大人になるにつれ、ほとんどのことが経験済みだらけになる。多くが復路、帰り道になってしまうのだ。今日のような日が以前もあったと毎日思うのである。だから大人の1年は本当に短い。
●大人の経験値は、知らないことを知る。
感動より大きくしているのに
ただ、大人にとっても未体験の事は、時間を2倍に長くする。だから1泊でも旅に出かけたとき、2日目の帰路で昨日のことを思い出すと、もうずいぶん前に起きた出来事のように思えて、懐かしささえ感じるはずなのだ。2倍どころではない。もっともっと長く感じるはず。
それは逆に言えば、大人の経験値が新しい体験に対して感動をより大きくしているからに他ならない。大人にはより多くを深く感じる心が育っているからこそ、子供の頃には感じなかった感動を、感じることができるわけで、大人の未体験には掛け替えのない、より重要な意味があるということにも気づいてほしいのだ。
だから、大人になっても1年がちゃんと長い人は、おそらくは意識して新しい経験に挑んでいるのだろう。そういう生き方があることを改めて知っておきたい。つまり、既に経験したことだらけと言うのは、完全な思い違いで、半径2キロ以内の事は、全部やり尽くしたとしても、そこから先には無限の世界が広がっている。だから、知っていることの中に閉じこもらず、自ら未知の世界に飛び込んで、新しいことにどんどん挑んでいく、そのこだわりが、1年をとてつもなく長くすることを知って欲しいのだ。
●眠りかけた好奇心を呼び起こすことで、
人生は変わる
ちなみに、子供と大人の“最も大きな違い”、わかるだろうか?それは好奇心。子供の頃は、好奇心の塊で、知りたいことばかりだった。毎日好奇心で心がいっぱいになっていた。それこそが経験値の少ない素晴らしさ。
でも大人になると、その好奇心がどうしても減退してしまうから、知っているつもり、わかっているつもりになって、好奇心がさらに失われていってしまう悪循環。それが最も寂しいことなのだ。
好奇心さえ持っていれば、世の中、じつは知らないことだらけであることにすぐ気づくはずなのに。一年が長い人は、まさに好奇心があるからこそ、毎日のように新しい経験を重ねていて、みっちりと実の詰まった365日を生きていけるのだ。
別にどこかに出かけていくばかりが、経験ではない。自分の知らないことを知る。それだけでも心は喜びでいっぱいになるはず。だから本でも映画でも、自分が知らないことを教えてくれるものなら何でもいい。それを手にして、眠っていた好奇心を呼び起こしてほしいのだ。
それだけで今この6月、これから始まる一年の後半がたちまち長い半年に感じるはずだから。ー
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