●偉人たちは口を揃えて、こう訴える
人間は、怒ったら負け
『怒りの結果は、怒りの原因よりはるかに重大である』(マルクス・アントニウス)
『怒る人に怒りを返さない人は、勝ちがたい争いに勝つ』 (ブッタ)
『許すことは、復讐に勝る』(エピクテトス)
哲学者も、古代ローマの英雄も、仏教の開祖も、言ってみれば、歴史上のそうそうたるメンバーが、こんなふうに口々に”人間は怒ってはいけない“ということを、名言によって諭している。
本当にどれもその通り。怒りをぶちまけてしまった時に失うものは、怒りの原因そのものよりも深刻……これは、怒りを形にしてしまったしまった人が必ず経験するはずの苦々しい思いと、やがて訪れる後悔を見事に伝えている。相手よりも、むしろ自分自身が傷つくのが怒りなのだ。
そして、怒っている人とは争わない、冷静に対処することが、難しい争いを結果として勝ち抜いていくコツであるという“ブッタの教え“は、まさに悟りの境地。
でもいちばん心に響いたのは、3つ目の名言。許すことは復讐するより、きっと良い結果を生み、何より尊いことであるという、まさに哲学の醍醐味とも言える教えだった。
ともかくこんなふうに、怒りはどんな場面でも抑え込むに限る。怒ったら負け。ただ何の得もないとわかっているのに、それでも怒りは突然やってきて、心を乱す。きっと正義感が強い人ほど、職場や人間関係で不可抗力のように襲ってくる怒りを抱え込むことが難しいのではないだろうか。
もちろん怒りを感じない人、怒りをちゃんとコントロールできる人も少なくないはずで、それがどんなに幸せなことかも知ってほしい。だから今、改めて、怒りをコントロールする方法。
●カウントダウン、または深呼吸で
6秒間我慢するだけ
最近ではいわゆる”アンガーマネジメント“の方法が、社会生活を上手に切り抜ける方法として、盛んに提案されている。中でも注目のテクニックは、「6秒ルール」。
怒りを感じたらともかく6秒間我慢する。すると、自然に怒りがおさまっていくというもので、怒りなど本来はその程度のことで収まるのだと言うことをよく示している。
具体的な方法としては、1、2、3とカウントしていくといいと言われるけれど、経験上、逆に6、5、4とカウントダウンする方が効果的。3、2、1、0と、一気に気持ちを切り替えられるから。
でもさらにもっと有効なのは、息を大きく吸って6秒間かけてゆっくりと吐き出していく……ちょうど、瞑想のように。まさしく息とともに、負の心が体の外へ出ていく感覚があるはずなのだ。
ともかくこれも体に覚え込ませることが大切。頭に血が上ったら、実際こんなことはやっていられないと言うのかもしれない、だからとっさに深呼吸と言う癖をつけて欲しいのだ。
それでもたった6秒で、明らかに負の感情は何割か収まっているはず。逆に考えれば6秒なんて本当に一瞬。いかなる負の感情も、時間が解決してくれることの証である。ぜひ試してみて欲しい。
●送られないメールの下書きに
思う存分ぶちまけて
さて怒りの現場は治まっても、後からふつふつ湧き上がってくる怒りもある。怒りがどうしても収まらない場合、どうするか。怒りは紙に書くと収まると言うけれど、今時はこうしてほしい。
相手に対して、怒りを言葉にしてメールの文章にぶちまけて欲しいのだ。できるだけ過激にどうぞ。そして一度下書きに収納しておく。しばらく時間をおいてからその下書きを読み返してみる。
まさかこんなものは送れない、そう思った瞬間、怒りは不思議なほど鎮まっているはずなのだ。うっかり送信してしまわないように宛先にアドレスは入れずに。そしてゆっくり削除……。最も効果的なアンガーマネジメントである。
許すことは、復讐に勝る……その意味がしみじみとわかってくるはずである。
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