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活性酸素が大発生する理由って?
みなさん、こんにちは。アンチエイジングの鬼、勝田小百合です。
1月より始まったこの出張所ですが、第一回目はいかがだったでしょうか。エイジングケアにはオーガニックコスメ一択だという理由を、歴史、油の質、天然の香りの効能などさまざまな観点から書いたのですが、化粧品の開発者を約20年やって化粧品作りの裏の裏まで見てきた鬼として、これに関しては大声で叫んでも叫びすぎということがありません(笑)。
ところで、私のアンチエイジング理論の中で軸となっている考え方に「いらないものは入れない、ほしいものだけチャージ」というのがあります。私が代表兼開発をつとめるアムリターラのコスメやサプリメントの原料がなぜオーガニックなのか、なぜ合成防腐剤や植物性の合成界面活性剤も使用しないのか、不自然な添加物を入れないのか。それは、私たち人間も、本来この地球に昔からあるナチュラルなものを原料に身体も肌も構成されており、その状態が最高に整っていれば、元々備わっている「自然治癒力」によって、身体はいつも最良な状態に保たれるように出来ているからです。そう、私たち自身がすでにオーガニックな存在なんですよね!
そして、ただ生きているだけで、最低でも呼吸から取り込む酸素の約2%分は発生してしまう「活性酸素」というエイジングを進める毒性の酸素を、出来るだけ増やしたくないということも、超重要課題としてあります。
自然界に本来存在しない不自然なもの、身体に負担をかけるものを摂取したり、肌に付けたりすると、その分身体は知らず知らずにストレスを感じて活性酸素を多く発生させてしまうのです。
通常の何倍も活性酸素を発生させてしまう原因として、他には大気汚染、電磁波、紫外線、放射能、喫煙、寝不足、多剤処方の薬、多めの飲酒、激しい運動、精神的ストレスなどがあると言われています。
スマホをはじめとする電化製品やコンビニに溢れる加工食品、ケミカルコスメに囲まれて、土や緑に触れず眠らない街に暮らす現代人は、どうしても活性酸素を多く発生させて細胞を傷つけてしまいがちです。
ところで活性酸素とはなんでしょうか。酸素は普通原子の周りに8個の電子を持っていますが、それぞれ2個ずつペアを組んでいます。この電子の数が減ってペアがいなくなり、不安定になっているものが活性酸素です。不安定なので手近な体の組織から電子を奪うので、奪われた物質はまた隣から電子を奪い、連鎖的にこれが広がり、電子を奪う時に細胞膜、DNA、たんぱく質などが傷つけられることが、あらゆる病気やエイジングの原因だと言われています。
私たちの体の中には、活性酸素を処理する抗酸化酵素であるSODやカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどがありますが、これらだけでは処理しきれない大発生した活性酸素を、どう無害化していくかがエイジングケアの重要な鍵となります。
体内にある抗酸化酵素の代表格であるSOD酵素は、スーパーオキサイドディスムスターゼ(super oxide dismutase)の頭文字を取った名称。最も頻繁に発生している活性酸素のスーパーオキサイドを消去し、細胞やDNAを活性酸素の攻撃から守るので、エイジングケア、肌荒れの改善、動脈硬化予防、疲労回復などの作用があります。ただ、体内のSOD酵素は40歳を境に生成されにくくなり、量が減っていくので、外からも摂取したいもの。ルイボスや明日葉のようにSODに似た作用を持つ「SOD様食品」を摂ったり、SOD酵素自体を大量に持つ藻である「テトラSOD」などにも注目しています。
活性酸素には主に下記の4種類があります。
もっとも頻繁に発生している活性酸素。呼吸、食事の栄養素からエネルギーを作る時や、細菌を攻撃する時、紫外線を浴びた時にも発生します。活性酸素としてのパワーはそれほど強力ではないのですが、過酸化水素や最強のヒドロキシラジカルにも変化することがあります。最前線でスーパーオキサイドを迎え撃つ守りの「剣士」とも言えるのが、体内にあるSOD酵素で、スーパーオキサイドを酸素と過酸化水素に分解します。SOD酵素は亜鉛、銅、鉄、マンガン、セレニウムなどのミネラルが不足していると十分作られないのでミネラル不足には気をつけて。出汁をしっかりとったお味噌汁に海藻を入れると良いですよ!
[対応する体内酵素]SOD酵素
[外から摂取すると処理してくれる栄養素] ビタミンC、E、ポリフェノール、フラボノイド、カロテノイド、テトラSOD(藻)など
呼吸や生命活動時に発生していますが、スーパーオキサイドがSOD酵素で分解された時にも発生。毒性はそこまで強くないですが、ヒドロキシラジカルなど他の強力な活性酸素に変化しやすい活性酸素です。体内のグルタチオンペルオキシダーゼという酵素で分解され、無害な水になります。カタラーゼという体内酵素でも分解され、水と水素になります。
グルタチオンペルオキシダーゼはセレニウム、カタラーゼは鉄が不足していると十分作られません。ちなみに加齢で白髪が増えるのは、過酸化水素を無害化する体内酵素の産出が弱まるせいだと言われています、過酸化水素は要するにオキシドールですからね! なので、白髪予防にもミネラルやビタミンCなどは、実はとても良いのです。ちなみにルテオリンというフラボノイドも白髪に効果があることが分かっており、食品ではピーマン、春菊、レタス、セロリ、ブロッコリーなどに含まれています。
[対応する体内酵素] グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ
[外から摂取すると処理してくれる栄養素]ビタミンC、ポリフェノール、フラボノイド
強力な酸化力を持ったもっとも凶暴な活性酸素。過酸化水素が変化して生じたり、放射線が体内の水に当たった時にも作られます。体内で細胞膜や遺伝子を攻撃し、細胞を壊す性質があります。DNAを傷つけ、たんぱく質や脂質を酸化させることによって、さまざまな病気や老化の原因になります。
[対応する体内酵素] グルタチオンペルオキシダーゼ(そんなには処理出来ない)
[外から摂取すると処理してくれる栄養素]水素、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノールなど
ヒドロキシラジカルと共にたいへん毒性の高い酸素です。紫外線を浴びると、皮膚の細胞で大量に発生し、皮膚のたんぱく質や脂肪を変質させて、消えないシミやしわの原因にもなります。紫外線や放射線に当たると体内でも発生し、たんぱく質、脂質、DNAなどを傷つけます。
[対応する体内酵素]グルタチオンペルオキシダーゼ(そんなには処理出来ない)
[外から摂取して無害化する栄養素]カロテノイド(アスタキサンチンが最強)、ビタミンE、ビタミンC
ご覧のように一番発生しているスーパーオキサイドや過酸化水素を体内酵素や抗酸化物質でちゃんと処理しておかないと、最凶のヒドロキシラジカルにまで変化すると体内酵素はほとんど役に立ちません。そして同じように毒性が強い一重項酸素も体内酵素ではなかなか処理出来ないのです。
肌の老化に関しては80%は光老化が原因とも呼ばれるのは、この一重項酸素のせいが大きいのではないかと思っています。私が化粧品に藻由来のアスタキサンチンを入れるのはカロテノイドの王様だからで、マルラオイル、アボカドオイル、モリンガオイルなどを配合するのは天然ビタミンEが多いからなんですよね。
カロテノイドとは動植物に存在する黄色または赤色の色素で、緑黄色野菜に含まれるβカロテン、トマトやスイカに多いリコピン、ワカメやひじきにあるフコキサンチン、ほうれん草などに多いルテイン、そして鮭やいくら、藻に多いアスタキサンチンなどがあります。紫外線だけでなくスマホやPCのブルーライトにもさらされている私たちには、特にカロテノイドが大切です。ポリフェノールも肌に赤い炎症を起こさせにくくする作用があります。化粧品でもサプリメントでも、しっかり取り入れていきたいです。
ちなみに「セリウム」というミネラルは、処理方法によって、なんとこの4つの活性酸素を無害化する力を持ちます。しかもその力はセリウムが存在する限りは、しばらく繰り返される持続力があるのも魅力。鬼的に大変気に入っている成分で、日焼け止めに使っています。
ちなみに目の水晶体と網膜の中心の黄斑部は、日々酷使しているので活性酸素の一重項酸素がものすごく発生している箇所です。水晶体と黄斑部は紫外線によって酸化して傷つき、水晶体は白内障に、黄斑部は加齢黄斑変症になりやすくなるのですが、これを食い止めているのが、カロテノイド色素のルテインとゼアキサンチンです。
そもそも黄斑がなぜ「黄」という文字を持つか言うと、口から入れた黄色いルテインが、活性酸素から目を守るために集まっている場所だからなんですね。
ルテインに関するいろいろな研究で、ほうれん草やケールなどのルテインを含む緑黄色野菜を多く食べている人は、正常視力を維持する可能性がずっと高く、コントラス感度がとても良いことも分かっています。
アンチエイジングとは、活性酸素とのあくなき戦いです!
しかし、対処法をここまで知っておけば、逆にまったく怖くない気がしませんか?
人間が元々持つ自然治癒力、抗酸化酵素、そして植物が持つチカラって本当に面白いんです。
1968年大阪府生まれ。カイロプラクターとして骨の歪みの矯正から、食事や生活指導も行う代替医療の治療家。30代からエイジレスな生き方の研究を始め、2005年に始めた「アンチエイジングの鬼」が超人気ブログとなる。2008年、国産オーガニックコスメ&フーズブランドの草分け「アムリターラ」を創業し、現在も代表と商品開発を兼務。
アンチエイジングの鬼 コスメキッチン出張所
株式会社AMRITARA代表 勝田小百合