HOME > コスメキッチンジャーナル vol.18 Summer Edition

Kaoru Saito's Column 綺麗な女の引き寄せ力

<第二章> Qui rit guerit

特別な力を持つ笑顔は、誰かの記憶の中でさえ、
人を幸せにしたり、勇気づけたりする

「ヘップバーン」と言えば、ハリウッドではキャサリン・ヘップバーンを指す。オスカーの女王、メリル・ストリープもかなわない、オスカー4回受賞という快挙を成し遂げながらも、1度もあの華麗なる授賞式に現れず、レッドカーペットを練り歩かなかったツワモノなのだから当然だ。でも日本は未だに、「1番好きな女優」にオードリー・ヘップバーンの名前を挙げる人が最も多かったりするほど、オードリーびいきである。

カリスマとして、まさに永遠の命を持った女神。美貌の女優は他にもたくさんいるけれど、オードリーが特別な力を持ったのは、ひとえに"笑顔の奇跡"を体現している人だったからなのだろう。本人は、大きすぎる口元や角張った顎にコンプレックスを持っていて、自らを美しいと思ったことは一度も無いと語っているけれど、でもだからこそ、あの笑顔には、みんな心を動かされたのだ。文字通りのビックスマイルは何度見ても、繰り返し見ても、常にハッと目を見張ってしまうほど。美しいのに気取りも気負いもない、なんとも心地よい心からの笑顔だから、ずっと眺めていたいほど。

誰かが、あの笑顔をカメオにして持ち歩きたいと言った。幸せお守りとして。別の誰かは、こう言った。自分の場合は激しく落ちこんだりして元気を出さなきゃと思う時、不思議だけれど、いつも自然にオードリーの笑顔が脳裏に浮かぶのと。ギリシャ神話やローマ神話には、様々な女神が登場するけれど、まさに現代における"笑顔の女神"となった人なのだ。

それにしても、他人を幸せにする笑顔を持っているってすごいこと。ましてや、記憶の中の笑顔を引き出すだけで、人がホッとしたり、気持ちよくなったりするって、とてつもなくすごいことではないか?もちろん笑顔に自分を元気づけ、生命力を高める力があるのは紛れもない事実。でも、特別な力を持つ笑顔は、記憶だけで人を幸せにできるということなのだから。

以前から、誰かがあなたを思い出す時、いつも笑顔、笑顔しか浮かばないような女性になりましょうという提案をしてきたけれど、もっと言うなら、その記憶の中の笑顔だけで、人を楽にしたり、清々しくしたり、浄化したり、そういう笑顔で生きていく女になりましょうと訴えたい。

もう1人のヘップバーン、キャサリン・ヘップバーンも代表作「旅情」で、一人旅のヴェニスで恋をした人と別れて自国へ帰って行く汽車の窓から、身を乗り出し笑顔で手を振るが、あのラストはこの人の偉業を振り返る意味でも、また大女優の魅力を今に伝える上でも、映画史上最も重要なシーンと言われる。確かに目に焼き付いている。切なくも気高い笑顔は、見る人を勇気づけてくれるから。まさに、そんな笑顔で生きていきたいのである。

齋藤薫美容ジャーナリスト/エッセイスト

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。最新刊は初めての男モノ『されど、男は愛おしい』(講談社)。また『“一生美人”力人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など多数。

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